感情を揺さぶる香りの力
2009.07.01 掲載

お香 コラム1


<自分だけの幸せな香りを見つける>
ストレス社会で生きる私達にとって、感情をコントロールすることが、幸せと成功の鍵を握っています。「理性は感情の奴隷である」ダビット・ヒュームの言葉通り、感情を支配することで、自分で自分を助ける「幸せな香り」を見つけることが、幸せの第一歩かと思われます。最近の「癒し」ブームもこの感情をコントロール出来る商品(お香・精油)として、盛んに注目されています。香りの活用は、古くはエジプト時代、王が精油をブレンドした様々な香水を、用途にあわせて使い分けていたり、クレオパトラが愛用していた香水も、安眠剤としても使われたり、日本の戦国時代の武将も戦いに行く前の高ぶる気持ちを抑えるために、兜に香を焚き気持ちを静めたりと、香りが、感情に及ぼす力をよく知っていたことが分かります。


<自分だけの幸せな香りを見つける>
さて、香りはなぜ、それほどまでに、心理効果をもたらすことが出来るかと言いますと、五感の中でも嗅覚が一番、感情変化に即効性があり、影響が絶大なのです。人間の快・不快・興奮・鎮静・つまりは、喜怒哀楽の感情をもたらす脳の中でも、大脳辺縁系と呼ばれる古い脳(本能を司る脳)に直接影響をもたらすことが分かっています。他の、嗅覚以外の感覚は、一度、大脳皮質(知性の脳・新しい脳)に信号が送られ、その後大脳辺縁系に行くのに対して、嗅覚だけは、直接、大脳辺縁系(本能の脳)へ信号が行くのです。このため、嗅覚は他の感覚に対して、感情に訴える割合が多く反応が早いのです。

また、最近の実験では、快い香りを提示すると、創造的な問題解決が促進されることが、実験的に確かめられています。快い感情の時には、思考が柔軟であり、それに対して、不快なときは、思考の視野や注意の範囲も狭くなるという実験データもあります。


<より幸せな生活を送るために>
 そして、今一度、感情には嗅覚と香りが密接に結びついている重要性を理解していただき、うまく活用していただきたいと思います。もっと大きなスケールでいいますと、美しい自然の香り、花の香りを感情で感じ取り、香りという神秘の力を利用して豊かな感情を育み日常生活に取り入れ、世界中を豊かな生活にしたいものですね。



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参考文献
「嗅脳」 鳥居鎮夫 著
(発行・発売元:株式会社イーハトーヴフロンティア)